高田晴行に捧げる詩
現代の侍、高田氏に捧げる詩を歌おう。
骨肉相食む狂気と闘うため
彼は打ち続く戦火に苦しむクメールの地に遣わされた。
携えた武器は人の体を切り裂く鋼鉄の刃ではなく
人の心を溶かす、あの眼差しだけ。
蚊の大群と硬いベッド、そして汚れた水。
粗末な食べ物しかなく
祖父母たちですらほとんど経験したことのないような混沌。
しかし、すべては自ら望んだこと。
その日、彼は一人の病人の命を救おうと
患者を乗せ、病院へ向け車を走らせた。
その責任感の強さが、やがて彼の命を奪うことになろうとは・・・・・・。
整備されない道は穴凹だらけ。
そう、あのとき彼は、いつものように路上の穴を避け
慎重に車を走らせていた。
「バンッ」という音がして、彼は思った。
「あっ、タイヤが飛んでいく」
その瞬間、体がハンドルに叩きつけられ、全身に痛みが走る。
振り返るとまばゆい光が斜めに走り
影は波打ち、まるで滑るように地面で躍っていた。
やがて柳の枝のように優美な指に導かれた彼が顔をあげると
そこにはアンコールワットの神殿に舞う巫女アブサラ。
彼女は神と人の世界に橋を架け、彼の魂を天国へと誘う
そして、アブサラの妹たちが彼の現世の名残に優しい覆いを投げかける。
志半ばにして倒れた英雄、高田氏を賛える詩を歌おう。
彼は自らの意志で
かの平和維持暫定統治の礎となった。
数千年にわたり、互いにあらゆる戦争の技術を駆使し、
もの言わぬ人々と大地に、計り知れぬ混乱と破壊をもたらしてきた、
対立する国家の群。それに代わる
連合国家、一つの地球のために。
未来の指導者たちよ、君たちを賛える詩を歌おう。
敢然として平和の統治を行なう者よ。
自らに問い続けなさい。
悪名高き戦争を戦ったときと同じ兵力と権力を
平和のために使っているかと。
そのとき高田氏の歌が、
そう「平和を守る者たちの伝説」のあの歌が聞こえるだろう。
未来の英雄たちよ、君たちを賛える詩を歌おう。
自分のことを考えるより先に
平和を願い、他人を気遣う者たちよ。
さあ、「神の子」の輪に加わりなさい。
Tatiana Androsov
Former Deputy Provincial Electoral Officer
Prey Veng Province
United Nations Transitional Authority in Cambodia (UNTAC)
1992-1993
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